イラレのデザインテクニック50選|文字・画像・配色・レイアウトの教科書

イラレのデザインテクニック50選|文字・画像・配色・レイアウトの教科書

イラレはひと通り触れるのに、なぜか仕上がりが素人っぽい…

デザインを自分で作っている方から、いちばんよく聞くお悩みです。

実は、素人っぽさの正体はセンス不足ではありません。文字・画像・色・配置——この4つの『メリハリ』が足りていないだけです。逆に言えば、この4つさえ押さえれば、デザインは見違えます。

この記事では、現役デザイナーの私が1,500件以上の制作で実際に使ってきたイラレのテクニックを、文字・画像・配色・レイアウトの4章に分けて50個、すべて実例つきで紹介します。『どんな悩みを、どの手法で解決するか』を、作例を見ながらたどれる構成です。

上から順に読んでもいいですし、目次から気になる悩みだけ拾い読みしてもOK。50個を見終わるころには、自分のデザインの『直すべき場所』が、自分で見つけられるようになっているはずです。

おもち

むずかしい理論は出てこないから、安心して読み進めてね!

目次

イラレの文字テクニック17選|フォントと文字加工で『読まれるデザイン』になる

デザインの印象は、フォントでほとんど決まります。1,500件を作ってきた私の実感です。というのも、チラシでもバナーでも、見る人が最初に意味を受け取るのは文字だからです。

この章では、フォント選びの基本から、プロが無意識にやっている文字組みの一手間まで、17のテクニックを紹介します。

どんなフォントを選べばいいかわからない

イラレを開いて最初に迷うのが、フォント選びです。何百種類もの中から選べと言われても、困ってしまいますよね。でも、安心してください。

フォントには『性格』があります。伝えたい雰囲気と、フォントの性格。この2つを合わせるだけで、フォント選びの迷いはほとんど消えます。

まずは代表的な4つの性格を、実例で見ていきましょう。

1.ゴシック体|力強さと安定感を出す、迷ったときの王道フォント

ゴシック体フォントで力強さを出した腕トレサムネイルのデザイン作例

線の太さが均一で、遠くからでもはっきり読める。それがゴシック体です。

この作例では、太いゴシック体が『トレーニング』という題材の力強さをそのまま画面に乗せています。ポイントは、フォントの性格と題材の性格を一致させること。

トレーニング、ビジネス、セール告知。『強く、はっきり伝えたい』場面では、ゴシック体が最初の正解になります。

迷ったら太めのゴシック体。これだけで、デザインの背骨が決まります。

2. 明朝体|上品さと信頼感をまとう、大人のフォント

明朝体フォントで上品さを出したメイクサムネイルのデザイン作例

線の先に『ハネ』や『ハライ』がある、筆文字の流れをくむフォントが明朝体です。この作例では、明朝体のもつ繊細さが、メイクの題材に上品な空気を与えています。

明朝体が向くのは、美容、サロン、和の商品、高級感を出したい場面。ゴシック体が『声の大きい人』だとすると、明朝体は『物腰のやわらかい人』。

同じ言葉でも、フォントを替えるだけで声色が変わる——この感覚がつかめると、フォント選びが一気に楽しくなります。

3. 丸ゴシック体|やさしさと安心感を生む、親しみのフォント

丸ゴシック体でやさしい印象にした離乳食レシピサムネイルのデザイン作例

ゴシック体の角を丸くしたのが丸ゴシック体です。たったそれだけの違いですが、印象は大きく変わります。

この作例では、丸い文字のやわらかさが『離乳食』という題材の安心感とぴったり重なっています。

子ども向け、食品、暮らしまわりのデザインと相性抜群。注意点はひとつだけで、かしこまった場面には向きません。

やさしくしたいときの丸ゴシック、と覚えておけば十分です。

4. 手書き風フォント|ナチュラルで飾らない空気をつくる

手書き風フォントでナチュラルに仕上げた美容デザインの作例

手書き風フォントの持ち味は『作り込んでいない感じ』です。この作例では、ゆるい手書き文字が、美容の題材から気負いを取り除いて、自然体の雰囲気にしています。

カフェ、雑貨、ナチュラル系の商品など『ていねいな暮らし』の世界観に合います。コツは、画面の全部には使わないこと。

手書き風はあくまで雰囲気づくりの主役で、細かい説明文には読みやすいフォントを合わせる。この役割分担ができると、ぐっとプロらしくなります。

文字が背景に埋もれて読めない

写真の上に文字を置いたら、読めなくなった。デザインを作る人なら、誰もが一度はぶつかる壁です。

解決の方向は2つあります。文字側を強くするか、背景側を弱くするか

まずは文字側の3つの手法から見ていきましょう。

5. 袋文字(文字の縁取り)|にぎやかな背景でも、一発で読ませる

文字の縁取り(袋文字)でにぎやかな背景でも読ませた投資サムネイルの作例

文字のまわりを別の色でぐるりと囲んだものを、袋文字と呼びます。

この作例、背景はコインや集中線でかなりにぎやかです。それでも文字がくっきり読めるのは、縁取りが文字と背景のあいだに『壁』を作っているから。

情報量の多い画像の上や、ポップで元気な世界観に向く、いちばん頼れる定番です。

イラレでは『アピアランス』パネルで文字の下に線を足す方法がおすすめ。あとから色も太さも自由に変えられます。コツは、縁を思い切って太めにすること。遠慮した細い縁は、ただのにじみに見えてしまいます。

6. ドロップシャドウ|影をひとつ落とすだけで、文字が浮き上がる

ドロップシャドウで文字を浮かせて読みやすくした潜在意識サムネイルの作例

縁取りほど主張したくない。でも読ませたい。そんなときは、文字に影を落とします。

この作例の背景は、光や模様がにぎやかに入り混じっています。それでも白い文字がすっと読めるのは、文字の後ろに影があることで、文字が背景から一歩手前に浮き上がって見えるからです。

場所は『効果』→『スタイライズ』→『ドロップシャドウ』。上品に仕上げる鍵は、影を『濃く小さく』ではなく『薄くふんわり』効かせることです。

影は目立たせるためのものではなく、文字と背景のあいだに奥行きの層を一枚はさむためのもの。そう考えると、ちょうどいい加減が見つかります。

7. オブジェクト(座布団)を敷く|どんな写真の上でも、確実に読める

文字の下に半透明のオブジェクト(座布団)を敷いて可読性を上げたサロンサムネイルの作例

文字の下に半透明の帯を敷く。デザインの現場では、これを『座布団』と呼びます。

この作例では、人物や壁の明るい部分に白文字が重なっていますが、うっすら暗い帯が一枚あるだけで、すべての文字が安定して読めています。

写真がどんなに複雑でも効く、確実性ナンバーワンの手です。作り方は長方形を置いて『不透明度』を下げるだけ。

コツは透け感を残すこと。透け感がないと写真が分断されて、画面が重くなります。写真の気配が透けるくらいが、ちょうどいい塩梅です。

8. 写真側を暗くする|加工を足さずに、引いて解決する逆転の一手

背景写真を暗くして白文字を立たせたビジネス系サムネイルのデザイン作例

ここまでは文字側を強くしてきました。最後は逆です。

文字には何もせず、写真の明るさをすっと落とす。この作例の文字が読みやすいのは、文字が強いからではなく、背景のオフィスが一段暗く調整されているからです。

文字に加工を足すほど、画面はにぎやかに、そしてゴテゴテしていきます。そんなときに思い出してほしいのが、この引き算の発想。

写真の上に黒い長方形を重ねて不透明度を下げれば、文字はそのままで、画面全体が落ち着いた大人の印象になります。足して解決しないときは、引いて解決する。デザインの大事な考え方です。

文字が地味でインパクトがない

読めるけれど、つまらない。フォントも選んだ、色も付けた、なのに何かが足りない。

その『何か』の正体は、たいてい動きと変化です。文字をまっすぐ置くのをやめる3つの手法と、文字そのものを加工する3つの手法。それぞれ、見ていきましょう。

9. 斜めに配置する|たった数度の傾きで、画面が動き出す

文字を斜めに配置して勢いを出した断捨離サムネイルのデザイン作例

文字は水平に置くもの。その思い込みを外すだけで、画面の印象はがらりと変わります。

この作例では、テキスト全体を同じ角度でぐっと傾けることで、片づけに踏み出す元気と勢いを表現しています。まっすぐ置いた瞬間、このワクワク感は消えてしまうはずです。

やり方は、文字を選択して回転させるだけ。簡単なぶん、コツがひとつだけあります。それは、傾けるなら全部を同じ角度で傾けること。バラバラの角度はただの乱れに見えますが、揃った角度は『意志のある動き』に見えます。

中途半端な2〜3度ではなく、思い切った角度で回転させてみましょう。

10. 縦書きにする|それだけで、特別な空気をまとう

縦書きの文字組みで上質な雰囲気を出したヒーリング系サムネイルの作例

横書きがあたりまえの今、縦書きはそれだけで目を引きます。この作例は和風の題材ではありません。それでも縦の文字が、波の横の流れと美しく対比して、静かで上質な空気を作っています。

縦書き=和、と決めつけなくていいんです。高級感、落ち着き、文学的な雰囲気。そういうものを出したいとき、縦書きは題材を選ばず効きます。

イラレでは『文字(縦)ツール』を選ぶだけ。横書きで作ったあとからでも、文字パネルから縦組みに変換できます。

11. アーチ状に沿わせる|文字が躍ると、画面が楽しくなる

文字をアーチ状に沿わせて遊び心を出したポップなサムネイルのデザイン作例

文字を曲線に沿って並べる。それだけで、画面に遊び心が生まれます。

この作例では、タイトルがアーチを描いていることで、キャラクターたちのにぎやかさと音が合って、見ているだけで楽しい画面になっています。

子ども向け、イベント告知、ポップな世界観と相性抜群です。

代表的な機能は『パス上文字ツール』。円や曲線を描いて、その線の上に文字を打つイメージです。コツは、カーブをゆるやかにすること。急な曲線は、読みにくさに直結します。

12. グラデーションをかける|光を宿した文字になる

文字にグラデーションをかけてネオン風に光らせたタイポグラフィの作例

一色のベタ塗りだった文字に、色の移り変わりを与える。この作例では、白い文字の縁にピンクから水色への光が流れ、まるで文字自体がネオンのように発光している仕上がりになっています。

ポイントは、グラデーションの色選び。『ネオンらしい色』を頭の中で作ろうとするのではなく、実際のネオン素材の画像から『スポイト』で光の色を拾うのがコツです。

参考にしたい画像をイラレに一時的に配置し、色を拾ったら削除するだけ。ネオン画像から抽出した色だからこそ、文字が浮かず、写真と自然になじみます。

文字を選択したままグラデーションを適用すると、真っ黒になってしまうので、『アピアランス』パネルで『新規塗りを追加』してから、その塗りにグラデーションを適用しましょう。

13. ヴィンテージ加工(かすれ文字)|使い込まれた風合いで、世界観を作る

ヴィンテージ加工(かすれ文字)で古びた壁と世界観を合わせたデザイン作例

ピカピカの新品より、味のある古着が好き。そんな世界観には、かすれ文字がぴったり。この作例では、白い文字がところどころ欠けていることで、背景の古びた壁と同じ時間を生きてきたような一体感が出ています。

ここで大事なのは、かすれは『汚し』ではなく『世界観合わせ』だということ。背景がつるんとした綺麗な写真なのに文字だけかすれていると、ちぐはぐに見えます。

背景に古さや質感があるときにこそ効く加工です。かすれのテクスチャを文字に重ねる方法のほか、『効果』の『ラフ』で輪郭を崩す方法もあります。

14. 文字に画像をはめ込む|文字そのものが絵になる

クリッピングマスクで文字に画像をはめ込んだタイポグラフィの作例

文字の形に、写真や素材を流し込む。文字加工の中でも、ひときわ目を引く表現です。

この作例では、文字ごとに異なる質感の素材を組み合わせています。やわらかい夕景の写真の上で、金属や金箔の質感が静かに光る。素材の重なりによって、文字が『読むもの』を超えて『見るもの』になっています。

使う機能は『クリッピングマスク』。文字を画像の前面に置いて、両方を選択し、右クリックから『クリッピングマスクを作成』をするだけでOK。

太い文字なら中の写真がしっかり見えて、絵として伝わる。細い文字なら、画像は質感や色として効いて、上品にまとまる。『画像』を見せたいのか、『質感』を効かせたいのか、それによって文字の太さを選んでください。

文字を入力しただけだと、なんだか間延びして素人っぽい

フォントも選んだ。加工もした。それでもプロの仕上がりと何かが違う。

その差は、検索しても出てこない場所にあります。プロが無意識にやっている、文字組みの小さな一手間。ここでは3つ、ご紹介します。

15. 字間を詰める|文字と文字のすき間を、引き締める

字間を詰めて引き締めたメンズスキンケアサムネイルの文字組み作例

文字を入力しただけの状態は、実はすこし間延びしています。フォントの初期設定は、どんな文章にも対応できるよう、余裕を持って作られているからです。

この作例は、文字どうしの間隔をきゅっと詰めています。それだけで言葉がひとつの塊になり、画面全体が引き締まった印象に。

調整するのは、文字パネルの『カーニング』と『トラッキング』です。とくに『括弧』や『句読点』のまわりはすき間が目立ちやすいので、重点的に確認しましょう。ビフォーと見比べると、変化は地味でも一目でわかる。それが、この一手間の不思議なところです。

16. 助詞だけ小さくする|『の』『に』『を』を、一歩下げる

助詞だけ小さくして大事な言葉を立たせた文字組みのデザイン作例

プロのデザインの文字をよく見ると、『の』『に』『を』などの助詞が、まわりよりすこし小さいことがあります。この作例もそうです。

伝えたい言葉は大きく、つなぎの言葉は小さく。わざと差をつけることで、読む人の目が大事な言葉だけを拾えるようになります。単位や記号も同じ。

『文字タッチツール』を使えば、個別の文字だけサイズを自由に変えることができます。知ってしまえば簡単ですが、知らなければ一生気づかない。まさに『検索できない一手間』です。

17. 数字だけフォントを変える|のっぺりした画面に、変化が生まれる

数字だけフォントを変えて単調さをなくしたファッションサムネイルの作例

『7選』『3つのコツ』『50%オフ』。デザインの中の数字は、いちばん目立たせたい情報であることが多いもの。なのに、すべて同じフォントで揃えると、画面はどこか単調でのっぺりして見えます。

数字こそ、変化をつける絶好のポイントです。この作例では『7』を別のフォントに替えています。たったそれだけで、数字が画面の主役に。

欧文フォントが定番ですが、おしゃれな日本語フォントの数字もおすすめ。どのフォントを選ぶかが腕の見せどころで、そこにデザインの個性が出ます。

イラレの画像テクニック9選|切り抜きと見せ方で、写真は変わる

文字の次は、画像です。

同じ写真でも、切り抜き方ひとつ、見せ方ひとつで、デザインの印象は驚くほど変わります。

この章では、切り抜きの基本から、主役を引き立てる方法、複数の画像に統一感を出す方法まで、9つのテクニックを紹介します。

画像を好きな形に切り抜きたい

イラレに写真を配置すると、まずは四角いまま画面に置かれます。そこから自由な形に切り抜けるようになると、デザインの幅は一気に広がります。四角、円、そして好きな形へ。ステップアップしながら、3つの切り抜きを見ていきましょう。

18. 四角に切り抜く|並べるだけで、カタログのように見える

画像を四角に切り抜いてカタログ風に並べたファッション比較サムネイルの作例

切り抜きの基本は、四角です。この作例では、5枚のコーディネート写真を細長い四角に切り抜いて、等間隔に並べています。それだけなのに、ファッション誌のカタログページのような、整った華やかな印象に。

使う機能は『クリッピングマスク』です。長方形を写真の上に描いて、両方を選択し、右クリックから『クリッピングマスクを作成』。コツは、並べる写真の幅をきっちり揃えることです。

サイズが揃っているだけで、写真はきれいに整列して見えます。

19. 円に切り抜く|窓からのぞくような、やわらかい印象に

画像を円形に切り抜いてやわらかい印象にした紅葉狩りデザインの作例

同じ写真でも、円に切り抜くと印象はぐっとやわらかくなります。

この作例では、紅葉の風景を大きな円で切り抜きました。四角のままなら普通の観光チラシですが、円になった瞬間、丸い窓から景色をのぞいているような、あたたかみのある仕上がりに。

四角が『きちんと』なら、円は『ふんわり』。やさしさや親しみを出したいデザインに向いています。

作り方は楕円ツールで円を描いて、あとは四角と同じくクリッピングマスクでOK。円を描くとき『Shift』を押しながらドラッグすると、ゆがみのない正円が作れます。

20. 好きな形に切り抜く|輪郭で切ると、画面に流れが生まれる

クリッピングマスクで人物の輪郭に沿って画像を切り抜いたデザイン作例

切り抜きの最終形は、自由な形です。この作例では、女性の横顔のシルエットに沿って、画面が切り替わっています。よく見ないと気づかないかもしれませんが、この輪郭があることで、文字と写真が喧嘩せず、画面全体に自然な流れが生まれています。

四角い写真では出せない、シルエットならではのなめらかな曲線が画面に動きを生む。それだけで、ただ写真を置いただけとは、まるで違う印象になります。

華やかなのに、主張しすぎない。シルエットひとつで、デザインの格が変わります。

メインの画像が埋もれて目立たない

写真は置いた。でも、いちばん見せたいものが、なぜか目に飛び込んでこない。

原因は、主役と脇役が同じ強さで並んでいることです。主役を立てる方法は、脇役を弱めるか、主役を強めるか、思い切って主役に寄るか。3つの手を順番に見ていきましょう。

21. 背景をぼかす|脇役がしずむと、主役が浮かぶ

背景をぼかして人物とチェックリストに視線を集めたジム紹介サムネイルの作例

この作例、背景にはトレーニングマシンがずらりと並んでいます。それでも視線がまっすぐ人物とチェックリストに向かうのは、背景がふわっとぼかされているから。

情報を消すのではなく、ぼかして『気配だけ』残す。だから画面はジムらしさを保ったまま、主役だけがくっきり立ちます。一眼レフで撮ったようなプロっぽさが出るのも、この手のうれしいところ。

イラレでは『効果』→『ぼかし』→『ぼかし(ガウス)』で再現できます。コツは、ぼかしすぎないこと。何の場所か分からなくなるまでぼかすと、背景を入れた意味がなくなってしまいます。

22. 光彩で光らせる|背景に埋もれた主役を、ふちの光で立たせる

光彩(外側)で人物の輪郭を光らせて背景から立たせたビジネス系サムネイルの作例

主役と背景の色が似ていると、輪郭がぼやけて埋もれてしまいます。この作例も、黒いスーツの人物に暗く濃い背景という、本来なら溶けて消える組み合わせ。それでも人物がくっきり見えるのは、輪郭がほんのり光っているからです。

使っているのは『光彩(外側)』という機能です。オブジェクトのふちに、じわりと光を加えることができます。場所は『効果』→『スタイライズ』→『光彩(外側)』。

光彩は、見えにくさの解消だけでなく、存在感を際立たせる表現としてもぴったり。人物、商品、テキスト。光の色をまわりの雰囲気に合わせるだけで、そこだけがふわりと浮き上がるような仕上がりになります。

23. 大胆にトリミングする|思い切って寄ると、迫力が生まれる

大胆なトリミングで顔に寄せた迫力のあるデザイン作例

最後は、加工ではなく『勇気』の話です。この作例は、横たわる人物の顔までぐっと寄っています。全身はフレームの外。だからこそ、まなざしの力がまっすぐ伝わる、静かな迫力のある画面になっています。

写真はつい全体を見せたくなるもの。でも、全部見せると、どこも主役になりません。いちばん伝わる部分だけを切り取って、あとは思い切って捨てる。必要なのは技術ではなく、決断です。

迷ったら『ここまで寄ったらやりすぎかな』と感じる、その一歩先まで踏み込んでみてください。意外とそこが、正解だったりします。

写真やイラストを並べたら、ちぐはぐに見える

1枚なら良い写真なのに、並べた途端にバラバラ。撮った人も光も色味も違う画像をそのまま並べれば、ちぐはぐに見えて当然です。自分で撮った写真でも、日時や場所が違えば同じことが起きます。

解決のタイミングは3段階。選ぶとき、加工するとき、そして最終手段。順番に見ていきましょう。

24. テイストを揃えて選ぶ|統一感は、選ぶ段階で決まる

写真のテイストを揃えて統一感を出したデニム紹介サムネイルの作例

実は、統一感の勝負は加工の前についています。この作例では、3本のデニムがどれも同じような淡いブルーで、色の濃さも質感も揃っています。だから3枚並んでも、ひとつのお店の棚のように見える。

もしここに真っ黒のダメージデニムが混ざったら、その1本だけ別のチラシから来たように浮いてしまいます。

素材を探すときから『色味』『明るさ』『質感』の近いものを選ぶ。地味ですが、これがいちばん確実な統一感の作り方です。イラストも同じで、水彩風と油絵風とベタ塗りを混ぜないこと。タッチが揃っているだけで、画面はすっとまとまります。

25. 色面をかぶせる|一枚の色が、バラバラを包み込む

色面を重ねてトーンを統一したファッション特集デザインの作例

集めた素材がバラバラな場合は、上から色をかぶせて揃えます。

この作例では、5枚の服の写真それぞれに、ベージュ系の色がうっすら重なっています。撮影場所も光も違う写真たちが、同じ空気の中にいるように見えるのは、この色の膜のおかげです。

やり方は、全体を覆う大きな長方形をひとつ重ねて『描画モード』や『不透明度』で透かすだけ。一枚一枚を補正するより、ずっと手早くて確実な方法です。

26. モノクロで揃える|色を捨てれば、必ず揃う

モノクロで写真の統一感を出したダンススクールのデザイン作例

最終手段は、色そのものを手放すことです。

この作例では、まったく違う2枚のダンス写真をどちらもモノクロにしています。ヒップホップとバレエ。本来なら世界観のぶつかる2枚が、白黒になった瞬間、同じ一枚の中で共存する仕上がりに。

色味の違いに悩むのは、色があるからです。モノクロにすれば、どんな写真も必ず揃う。しかも白黒は、それだけでスタイリッシュで強い印象を持っています。

操作は『編集』→『カラーを編集』→『グレースケールに変換』のみ。困ったときの最終手段でありながら、最初からこれを狙う価値もある、頼れる手法です。

イラレの配色テクニック9選|色選びに、もう迷わない

色は、デザインの中でいちばん『センスが要りそう』に見える分野です。でも実際は、いちばんレシピが効く分野でもあります。

この章では、覚えるだけで使える色のレシピと、ごちゃつきを整える方法、背景を仕上げる方法。9つのテクニックをご紹介します。

どの色を組み合わせればいいかわからない

配色の悩みのほとんどは、組み合わせのレシピを3つ知るだけで解決します。目立たせたいなら、反対の色。まとめたいなら、隣の色。迷ったら、白黒に1色。たったこれだけです。順番に見ていきましょう。

27. 反対の色で目立たせる|補色は、最強の引き立て役

補色(反対色)の黄と青紫で目立たせたドリンク広告の配色作例

この作例の黄色い文字が強烈に目に飛び込んでくるのは、背景が青紫(バイオレット)だからです。黄色と青紫は、色の世界でちょうど正反対に位置する『補色』の関係。反対同士の色は、おたがいを最大限に引き立て合います。

セールの告知、ここぞの一言、絶対に見てほしいボタン。『目立たせたい』が目的なら、補色がいちばんの近道です。

そして、反対の色を自分で考える必要はありません。イラレの『カラーガイド』パネルが、選んだ色の補色を自動で並べてくれます。

28. 隣の色でまとめる|類似色は、心地よい調和を作る

類似色(隣の色)のピンクと紫でまとめたメイク紹介サムネイルの配色作例

補色が『攻め』なら、こちらは『まとめ』の配色です。

この作例は、ピンクと紫という、色の世界でお隣どうしの『類似色』で組まれています。隣の色は性格が似ているので、画面の中で喧嘩をしません。だから全体が、ひとつのやさしい世界観にまとまります。

上品に、おだやかに、世界観を大切に見せたいときは、隣の色を選んでください。これも『カラーガイド』が並べてくれます。ベースの色をひとつ決めてパネルを開けば、隣人たちがずらりと表示される。

配色の正解は、考えるものではなく、選ぶものです。

29. 白黒+1色で決める|いちばん簡単で、いちばん洗練される

白黒にピンク1色を差したアクセントカラーのネイルデザイン配色作例

3つめのレシピは、ツールすら要りません。画面を白と黒で組んで、そこに好きな色を1色だけ差す。

この作例では、モノクロの世界にピンクの帯が1本通っているだけで、画面全体がきりっと締まり、視線は迷わずピンクの言葉に向かいます。

色数が少ないほど、デザインは洗練されて見えます。そして差した1色は、たった1色だからこそ、画面の主役になれる。差す色に迷ったら、その題材を象徴する色を選んでください。意味のある1色は、おしゃれなだけでなく、伝わる色になります。

色がごちゃついてまとまらない

気づいたら、画面の中に色が7色も8色も。よかれと思って足した色が、おたがいを打ち消し合って、にぎやかなのに伝わらない画面になってしまう。

色のごちゃつきを整える方法は、絞る、借りる、揃える。この3つです。

30. 使う色を3色に絞る|色を減らすほど、デザインは強くなる

使う色を赤・黒・白の3色に絞ったセールバナーの配色作例

この作例、文字は暴れ、かすれは飛び散り、画面はかなり激しい。それでも散らかって見えないのは、使われている色が赤・黒・白の3色だけだからです。

色数さえ絞れば、要素がどれだけ暴れても、画面はひとつにまとまります。おすすめの配分は、ベース70%・メイン25%・アクセント5%。海外では60:30:10と表現されることもありますが、考え方は同じです。この比率で3色に絞ると、自然と画面に秩序が生まれます。

色を足したくなったら、それは『色が足りない』のではなく『メリハリが足りない』サイン。色数はそのままで、大きさや配置で変化をつけてみてください。

31. 画像から色を抽出する|正解の色は、写真の中にある

スポイトで写真から色を抽出して文字に使ったサムネイルの配色作例

配色に迷ったら、画面の中の写真に聞くのがいちばんです。

この作例では、文字のオレンジを、写真の中の夕陽の光とトラックのラインからそのまま拾っています。写真の中にすでにある色を配色に使うから、文字と写真が響き合い、後から乗せた文字なのに、最初からそこにあったようになじんで見えます。

使うのは『スポイトツール』。クリックひとつで、画像の中の色をそのまま拾えます。ロゴや商品写真から色を拾えば、ブランドカラーと喧嘩しない仕上がりに。仕事のデザインで、いちばん出番の多いテクニックかもしれません。

32. トーンを揃える|色がたくさんあっても、まとまる

パステルトーンで世界観を揃えたベビー向けデザインの配色作例

『3色に絞る』の真逆の解決法もあります。この作例、文字にかなりの色数を使っています。それでも甘くやさしい世界にまとまっているのは、すべての色が同じ『パステルトーン』で揃っているから。

色あいはバラバラでも、色の明るさとあざやかさが揃っていれば、画面はひとつの世界観になります。

トーンとは、色の『調子』のこと。淡い、濃い、くすんだ、鮮やか。この調子さえ統一すれば、色数は怖くありません。たくさんの色でにぎやかに、でも上品に。そんな欲ばりな願いは、トーンを揃えることで叶います。

背景がのっぺりしていて、しまらない

主役は決まった。文字も置いた。でも、なんだか画面が間延びして見える。

その原因は、たいてい背景の『余りすぎた空白』です。空白を埋める方法を3つ。柄で埋める、質感で埋める、手持ちの画像で埋める。順番に見ていきましょう。

33. パターンで埋める|柄がしけば、空白は舞台になる

イラストのパターンで背景の余白を埋めたお米サムネイルのデザイン作例

この作例の背景には、ごはん茶碗のイラストがすきまなく並んでいます。

ポイントは、その柄がうんと薄いこと。にぎやかさは足したいけれど、文字の邪魔はさせたくない。だから柄を敷いて、色を淡くおさえる。この2段構えで、背景は『何もない空白』から『主役を支える舞台』に変わります。

柄が濃すぎると文字が負けて読めなくなるので、存在は感じるけれど主張しない、そのギリギリを狙うのがコツです。

題材に合ったイラストを薄く敷くだけで、画面の世界観はぐっと濃くなる。空白は、埋め方さえ知っていれば怖くありません。

34. 筆・ペンキ風の素材で埋める|質感が、画面の温度を上げる

筆・ペンキ風のブラシ素材で背景を埋めたスーツ特集サムネイルの作例

柄ではなく、質感で埋める方法もあります。この作例では、背景の白い空間に、金の刷毛でさっと塗ったようなかすれが走っています。

テクスチャ素材をひとつ置くだけで、画面に勢いと高級感が生まれます。刷毛のかすれも筆文字も、どちらも手描きの温かみを持つもの同士。だから自然となじみます。

大事なのは、素材をデザインのテイストに合わせること。

和や筆文字には刷毛のかすれを、インパクトや勢いを出したい画面にはペンキの飛沫を、クールでモダンな画面には金属やコンクリートの質感を。素材選びそのものが、世界観をつくります。

35. 画像の不透明度を下げて敷く|素材は、買い足さなくていい

画像の不透明度を下げて背景に敷いたコラージュデザインの作例

背景用の素材を、新しく探す必要はありません。

この作例の背景には、コラージュに使っているのと同じ花の写真が、うっすら薄く敷かれています。同じ素材だから、世界観がずれるはずがない。手持ちの画像を複製して『不透明度』を下げて背面に置く。それだけで、背景は完成します。

素材をひとつも増やさずに、空白が埋まって、しかも統一感まで手に入る。一石三鳥の方法です。

コツは、思っているより薄くすること。背景はあくまで背景。主役の邪魔をせず、そこにあると気づかれるかどうかのギリギリが、美しい仕上がりの境界線です。

イラレのレイアウトテクニック15選|デザイン4原則を実例で身につける

文字、画像、色ときて、最後は配置です。

実は、デザインには世界中のプロが従っている4つの原則があります。名前は『近接』『整列』『反復』『対比』。むずかしそうに聞こえますが、やることはどれも拍子抜けするほどシンプルです。

この章では、4原則を実際のデザインで身につけたあと、主役の立て方、物足りなさの解消、そして配置のマンネリを打ち破るテクニックまで、15個を一気に紹介します。

要素がバラバラで、画面が散らかって見える

文字も画像もちゃんと作ったのに、画面に置いたら散らかって見える。

それはセンスの問題ではなく、4原則を知らないだけです。多くの解説書はこの原則を図形の○や□で説明しますが、この記事では実際のデザインでお見せします。

36. 近接|関係あるものを近づけ、ないものを離す

デザイン4原則「近接」で情報をグループ化したファッション解説の作例

近接とは『関係あるものを近づけ、ないものを離す』こと。この作例が、いちばんの教科書です。

右側を見てください。『番号・カテゴリ・項目名』の3点がひと塊になったセットが、4つ並んでいます。塊の中はきゅっと近く、塊と塊のあいだにはしっかり距離がある。この距離のルールだけで、見た人は『4つの情報がある』と一瞬で読み取れます。

素人のデザインは、要素を画面に均等にばら撒きがちです。空白を埋めたくなるんですね。でも、大事なのは近づけることより、離す勇気。

関係の薄いもの同士の間に、たっぷり距離をとる。それだけで情報は『塊』として読めるようになります。レイアウトに迷ったら、まず要素をグループに分けることから始めてください。

37. 整列|見えない線を、一本通す

デザイン4原則「整列」でマス目に要素を揃えたサムネイルのレイアウト作例

この作例、文字とイラストがマス目の中にきっちり収まっています。よく見ると、すべての要素の端が、見えない線でぴったり揃っている。この『揃っている』という事実そのものが、画面に秩序と気持ちよさを生んでいます。

イラレには、選んだ要素を一発で揃える『整列』パネルがあります。端を揃える、中央を揃える、等間隔に並べる。すべてワンクリックです。

まず整列パネルで揃えて、そのあと目視で微調整する。この順番が、いちばん速くて正確です。プロほど、この見えない線を大切にしています。

38. 反復|同じルールを、くり返す

デザイン4原則「反復」で同じ型を繰り返したマカロンメニューの作例

この作例では『マカロンの写真 + カタカナの名前 + 筆記体』というセットが、同じ形のまま5回くり返されています。このくり返しが、画面にリズムと安心感を生んで、まるでお店の公式メニューのような信頼感を作っています。

反復のコツは、一度決めたルールを最後まで守りきることです。写真の大きさ、文字の位置、色の使い方。1か所だけルールを破ると、そこだけ素人っぽく見えてしまいます。逆に言えば、守りきりさえすれば、要素が増えるほどデザインは美しくなる。

商品一覧やメニュー表で、最強の武器になる原則です。

39. 対比|大小の差が、主役を一瞬で伝える

デザイン4原則「対比」のジャンプ率で主役の言葉を強調した作例

4原則の最後は、対比です。この作例では『もし』『自分の』『やりたい』が大きく、ほかの言葉はずっと小さい。

この大小のリズムが、見る人の視線を自然に主役へと運びます。全部同じ大きさで並んでいたら、どの言葉も記憶に残らないはずです。

文字の大きさの差は『ジャンプ率』とも呼ばれます。プロのデザインは、このジャンプ率が大胆です。主役を決めたら、恥ずかしいくらい大きく。脇役は、不安になるくらい小さく。その差が伝わる力になります。

全部目立たせたくて、結局ぜんぶ埋もれてしまう

あれも大事、これも大事。全部を大きく、全部を赤く。その結果、何ひとつ目立たない画面のできあがり。

覚えておきたいのは、デザインの主役はひとつ、ということです。対比で主役を決めたら、次は主役の置き方と、見せ方。そして最後に、意外な奥の手をお見せします。

40. 三分割法|主役の置き場所には、正解がある

三分割法で人物と文字を配置したファッション系レイアウトの作例

主役は、画面のど真ん中に置くと、実は単調に見えます。この作例では、画面を縦横に三分割した線を想像してみてください。人物は右寄りの線の上、筆記体の文字は左下の交点のあたり。要素が線と交点に乗っているから、画面に心地よいバランスと余裕が生まれています。

これは『三分割法』と呼ばれる、写真や絵画の世界で古くから使われてきた構図です。

イラレでは『ガイド』を引いて三分割の線を作っておくと、迷わず配置できます。ど真ん中に置きたくなったら、ひと呼吸。すこしずらした場所に、プロの構図があります。

41. 文字をはみ出させる|枠を破ると、勢いが生まれる

文字を画面からはみ出させて勢いを出したダイナミックなデザイン作例

文字は画面の中に収めるもの。その常識を、あえて破る手があります。この作例では文字が、画面の端からすこしだけはみ出しています。たったそれだけで、画面に収まりきらない勢いとエネルギーが伝わってきます。

おもしろいのは、言葉の意味と演出が重なること。『限界』が画面の限界を超えている。このひとひねりが、見る人の記憶に残ります。

使いどころは、勢い・若さ・大胆さを出したいとき。テイストを見極めて、ここぞという場面で使ってください。

42. 余白をつくる|何も置かないことが、最強の目立たせ方

余白を活かして高級感と静けさを出した写真レイアウトの作例

そして、これが奥の手です。この作例、画面の大部分は霧と空気。要素はほんのわずかです。それなのに、象と『神秘』の二文字が、静かに、強く、目に焼きつきます。まわりに何もないからこそ、そこにあるものが際立つ。これが余白の力です。

埋めたくなるのは、自然な感覚。でも、高級ブランドの広告を思い出してください。どれも驚くほど何もない。余白は『何も置けなかった場所』ではなく『主役を引き立てるための空間』です。

要素を足しても足しても物足りないときは、一度ぜんぶ減らしてみる。それだけで、ワンランク上のデザインに仕上がることがあります。

なんだか物足りなく見える

レイアウトは整った。主役も立った。なのに、どこか寂しい。そんなときに効くのが『あしらい』です。

あしらいとは、デザインに添える小さな飾りのこと。料理でいう、仕上げのひとふりです。画面の完成度を一段引き上げる3つのあしらいを紹介します。

43. 吹き出しをつける|画面に『声』が生まれる

手書き風の吹き出しでアクセントを加えたレシピサムネイルの作例

この作例では『しぼまない』の一言だけが手書き風の線でぐるりと囲まれています。たったこれだけで、その言葉が誰かの声のように聞こえてきませんか。

吹き出しは、文字を『情報』から『語りかけ』に変える装置です。いちばん伝えたい一言、お客さまの声、ちょっとした補足。声にしたい言葉にだけ、吹き出しを添えてください。

きっちりした楕円より、この作例のような手書き風のゆるい線のほうが、あたたかみが出ます。

44. 飾り罫・枠で囲む|一本の線が、雑誌に変える

飾り罫と枠線で雑誌風に仕上げたデザインのレイアウト作例

この作例、よく見ると画面のまわりに細い白の枠が一本、そして『06』と『Rainy Day』のあいだに区切りの縦線が一本。線が2本入っているだけです。それだけのことで、ただの人物写真が、海外のファッション誌の1ページのように見えてきます。

枠には、画面を引き締めて『作品』に見せる力があります。連載感やシリーズ感を出したいときにも効果的。

長方形ツールで細い線の枠を描くだけなので、技術はまったく要りません。太すぎず、細すぎず。線の繊細さが、そのままデザインの品格になります。

45. キラキラのあしらいを散らす|小さな飾りが、画面を華やがせる

キラキラや手書きのあしらいを散らしたナイトルーティンサムネイルの作例

この作例には、小さなあしらいがいくつも散りばめられています。キラキラの光、手書き風の飛び出し線、ゆるい吹き出し、小さく添えられた英字。ひとつひとつは脇役ですが、この小さな飾りたちが集まって、夜のリラックスタイムの心地よさを演出しています。

あしらいは、素材サイトでも豊富に揃っています。キラキラ、リボン、矢印、波線、吹き出し。こうした素材をテイストに合わせて選んで、さりげなく配置する。その目利きと使いこなしが、デザインの完成度を上げます。

さりげないけれど、確実に伝わる。それがあしらいの魅力です。

いつも同じ単調な配置から抜け出したい

左に画像、右に文字。気づけば毎回、同じ配置になっていませんか。基本に忠実なのは良いことですが、ときには見る人を『えっ』と言わせる一手も欲しいもの。

ここからは、配置の常識を気持ちよく裏切る5つのテクニックをご紹介します。

46. 文字の形に写真を型抜きする|言葉が、写真の窓になる

文字の形に写真を型抜きしたタイポグラフィデザインの作例

写真の上に文字を置くのではなく、文字の形に写真をくり抜く。

この作例では、大きな英字の中からカラフルな髪の写真がのぞいていて、文字と写真が完全にひとつになっています。文字を読んだ瞬間、写真も目に飛び込んでくる。一度で二度伝わるデザインです。

作り方は、大きな長方形と文字をパスファインダーで『前面オブジェクトで型抜き』をして、文字の形に穴を開けます。その下に写真を配置すると、文字の形の窓から写真がのぞく仕組みです。文字を太く、画面いっぱいに大きく使うほど、インパクトは増します。

47. エンベロープで文字を変形する|文字が、形に寄り添う

文字タッチツールでリンゴの輪郭に一文字ずつ沿わせたタイポグラフィの作例

この作例では『APPLE』の一文字ずつが、りんごの丸い輪郭に沿うように、大きさを変えながら並んでいます。文字がりんごの形に寄り添うことで、言葉と絵が一体になった、ロゴのような仕上がりになっています。

使う機能は『文字タッチツール』。1文字ずつ選んで、大きさや位置を個別に調整できます。りんごの輪郭に合わせて、1文字ずつ丁寧に伸縮させていくのがコツです。

手間はかかりますが、そのぶん自由度は高く、どんな輪郭にも文字を沿わすことが可能。アイデア次第で、文字はどんな形にもなれます。

48. 1枚の写真を分割する|切り分けると、おしゃれになる

1枚の写真を分割して配置した雑誌風レイアウトのデザイン作例

1枚の写真を、そのまま使わない。この作例では、ひとりの人物写真がいくつもの窓に切り分けられて、間に余白をはさんで配置されています。全部はつながらないのに、頭の中で1枚の顔が浮かび上がる。この『見えない部分』が、画面に洗練と謎めいた魅力を与えています。

不思議なもので、写真は分割して余白をはさむだけで、急にモードな雰囲気になります。

やり方は、複数の長方形を並べて、それぞれに同じ写真をクリッピングマスクするだけ。素材は1枚しか要りません。いつもの写真に飽きたら、切ってみてください。

49. 画像トレースで素材の形に切り抜く|1枚の写真が、幾重にも重なる

画像トレースしたインク素材で写真を切り抜いて重ねたデザイン作例

この作例、じつは使っている素材は、女性の写真とインクのにじみ、ほぼ2つだけです。

インク素材を『画像トレース』でオブジェクトに変換して、その形で写真を切り抜く。切り抜いた写真の後ろには、同じインクの形を拡大して薄く敷く。さらにその奥に、同じ女性の写真を大きく、透けるほど薄くして重ねる。

同じ素材を、大きさと濃さを変えながら三層に重ねるだけで、画面に奥行きが生まれます。

四角い写真をやめて、素材の形で切り抜く。そして素材は、1回で使い捨てない。この2つの発想だけで、画面はぐっと奥行きを持ち、見る人を惹きこむ一枚になります。

50. 色で遊んで印象を一新する|配置はそのまま、別の作品になる

配置はそのまま色だけ変えて印象を一新したサムネイルの比較作例

この作例、見覚えがありませんか。そう、文字の章で『数字だけフォントを変える』として登場したデザインです。あちらは昼の光、こちらは夜のネオン。まったく別の作品に見えますが、文字も写真も配置も、1ミリも動かしていません。変えたのは、色だけです。

単調な配置から抜け出す最後の答えが『配置を動かさないこと』だなんて、デザインって、おもしろいですよね。デザインの印象は、それほどまでに色に支配されています。

素人っぽさの正体は、センスではなく、メリハリ不足。ここまで読んだあなたは、もうその直し方を知っています。

『見てわかる』から『作れる』へ

ここまで読んだあなたが手に入れたのは、『見る目』です。自分のデザインのどこを直せばいいか、自分で見つけられる目。これは、デザイン制作に欠かせないスキルの1つです。

ただ、正直にお伝えすると、『見てわかる』と『作れる』のあいだには、もう一段だけ階段があります。それを上る方法は、ひとつしかありません。

実際に手を動かして、作ることです。

私のYouTubeチャンネル『おもちのイラレデザイン』では、画面を共有しながらゼロから一緒に作れる動画を用意しています。

おもち

イラレのスキルを身につけたい人はぜひ見てみてね!

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